少しだけ自分の話をします。
僕には親友がいます。
彼とは高校の頃に知り合い、今年で9年の付き合いになります。クラスは違えど同じ部活動に所属し、同じ寮に入り寝食を共にしていた友人です。来る日も来る日も深夜までゲームをし、他愛のない話で盛り上がり、アニメを観たり漫画を読んだりして遊んでいました。彼とはウマが合ったのか、すぐに仲良くなりました。
彼は僕の知らないことをたくさん知っていました。アニメやゲーム、最近読んだ小説や観た映画、はたまた近況など本当に楽しそうに話をする奴で、自分の感情を真っ直ぐに表現するのが上手な奴でした。僕は基本的に彼の聞き役で、そんな彼の話を面白がって深夜遅くまで語り合う、という日を何日も続けていました。
自分の考えを発信するのが苦手だった僕は、そんな彼に尊敬の念を抱いていました。
彼とは、年齢を重ねるに連れて少しずつ距離が離れてゆきました。
原因は彼と私の共通のコミュニティが少なくなっていたことでした。寮、部活、学校……こればっかりは仕方のないことですが、年齢を重ねるにつれて2人を取り巻く環境はものすごい勢いで変化していったのです。
そんなある日、彼にライブに行こうと誘われました。なんのライブ?と訊ねると『μ'sのファイナルライブ』という応えが返ってきました。
僕はμ'sのライブを観たことがなく、また彼女たちがどのようなパフォーマンスをするのか興味があったのでふたつ返事で承諾しました。なにより、彼の話にノって面白くないものは無かったからです。
終演後、僕はものすごいものを見てしまったという興奮と、どうしてもっと早くに知らなかったのだろうという後悔だけを残していました。一方の彼は、とても悲しそうで苦しそうで、見ているこっちがやるせない気持ちになってしまうくらいに落ち込んでいました。
彼は目に涙を浮かべながら、しきりに『ドーム、行きたかったなぁ』と嘆いていたのをよく覚えています。
そして
月日は流れ
僕と彼は、東京ドームのアリーナ席にいました。
ステージには大好きなAqours。あの頃の願いは形を変え、別の願いとなってこうして叶えられたのです。
ラブライブ!サンシャイン‼︎ Aqours 4th LoveLive! ~Sailing to the Sunshine~ 東京ドーム公演1日目。Aqoursの航海と、たくさんの『ありがとう』をテーマに掲げたライブに、僕らは熱狂し、愛を叫び、そして涙を流しました。
決めたよ Hand in Hand
Aqoursの始まりを予感させるこの楽曲は、彼がどうしても聴きたいと言っていた1曲でした。イントロが流れ出した瞬間に顔を合わせ、身体を叩き合い、喜びを爆発させました。
想いよひとつになれ
LV会場で声を枯らすほど"がんばれ"と叫んだあの瞬間を思い出しました。あの日届けられなかった想いは、今なら届けられる、そう信じて歓声を送りました。
聖なる日の祈り/ジングルベルが止まらない
はじめて訪れた沼津のことを思い出しました。沼津という聖地でAqoursに『おかえり!』と言えたこと、彼と沼津を練り歩けたことは、僕にとって宝物です。
MIRAI TICKET
0を1にしたあの興奮と感動を、東京ドームという舞台で披露してくれることが嬉しくて抱き合いました。帆を張って進むAqoursには期待しかなくて、どこまでも行け!進め!!という想いを乗せてサイリウムを振りました。
ユメ語るよりユメ歌おう
僕も彼も大好きな楽曲で、もし披露してくれたら一緒に肩を組んで歌おうと約束をしていました。そして、一緒に肩を組んで歌いました。あの瞬間の彼の笑顔は忘れないでしょう。
そして最後の曲
Thank you, FRIENDS!!
僕たちは10人目として、Aqoursへめいっぱいの感謝を伝えるんだという気持ちで歌いました。
Thank you, FRIENDS!!
会えてよかったな 会えてよかったな
最高の絆!
おそらく涙を必死で堪えながら歌っているでしょう。声は震え、肩に乗せた手には力が入っています。それでも彼は歌うことをやめません。会場中に響き渡る音でAqoursが歌っているはずなのに、1番クリアに聴こえたのは彼の震えた小さな声でした。
人生には ときどきびっくりな
プレゼントがあるみたいだ
μ'sに出会え、Aqoursに出会えたこと、そして彼と出会えたことが、僕にとってのプレゼントなのかな。そんなことを考えます。
ねぇ 会えてよかったな 会えてよかったな
これはなんの キセキだろう
消えないでって呟きながら
もっと先へ飛び出すんだ!
肩を組んで歌っていただけで、幾千万もの会話を重ねたような気持ちになりました。思い出すのは、Aqoursがこれまで描いてきた長い長い航路。
そして、彼と一緒にラブライブ!を追いかけてきた輝かしい日々でした。
僕がこの瞬間、この場所に居れるのは彼のおかげです。あのとき彼が夢の扉を開いてくれなければ、僕はその扉に飛び込むことはなかった。
ただの友達同士で終わるはずだった関係は、ラブライブ!を通していちばん大切なものに変化してはいなかった。
同じ季節を駆け抜けてきた彼の存在は、僕の中でかけがえのないものになっていたのです。
終演後、僕たちは顔を見合わせ、互いにありがとうを伝え合っていました。感情が堰を切ったように溢れ出し、悲しくもないのに涙が溢れて止まりませんでした。普段から本音をぶつけ合う関係ではありますが、あのとき言えなかったこと、今だから言えることの全てを話しました。一片の曇りもなく、心の底から腹を割って話すことができたと思います。
不思議なものですよね。
Aqoursにこれまでのありがとうを伝えるつもりが、最終的に僕が1番ありがとうを伝えたかったのは隣にいる彼だったのです。
翌日、沢山の『ありがとう』を以って、Aqours 4th LoveLive 〜Sailing to the Sunshine〜 東京ドーム公演は幕を閉じました。
キャストの皆さんからは、2日間にわたってたくさん感謝の言葉を届けてくれましたね。これほど嬉しいことはありません。
僕も僕で、沢山の"ありがとう"を伝えることができました。
旅の道中を共にした人に
連番者の人に
会場で出会った人に
SNSで知り合った人に
企画に参加させていただいた人に
夢を叶えてくれたAqoursに
そして、彼女らと僕を引き合わせてくれた彼にも。
"ありがとう"と、いっぱいいっぱい伝えることができました。
あの日のThank you, FRIENDS!! がくれたもの。
僕にとってのそれは
大切だと思える人に、改めて素直に"ありがとう"と伝える気持ち と
ありがとうを伝え合うための機会
なのでした。
あなたは、どうでしたか?
伝えたい人に、きちんと
"ありがとう"は伝えられましたか?
きっとたくさんのありがとうを贈り、
たくさんのありがとうを受け取ったのではないでしょうか。
彼女たちがキラキラと輝いていたあの公演を観ていると、僕は『届いたんじゃないかな』って思えて仕方ありません。
そんな暖かい心を持った15万人の"友達"と共に、Aqoursの大航海を見届けられたことを、僕は誇りに思います。
ありがとう。
…ただ僕は欲張りな人間なので、今回の公演の"ありがとう"だけではちょいと物足りません。だから、これからももっともっと先へ飛び出すAqoursに、僕はありがとうを届け続けようと思います。
そして、今までこのコンテンツを通して出会った人にも、これから出会う人にも、"ありがとう"と言い続けたいと思っています。
でもやっぱりそのときにも
隣に彼がいてくれたら、これほど嬉しいことはないでしょうね。
2018.11.21
ぶれぶれのジョニー
(((((( c(・ω・()・ω・)っ)))))
あとがき
僕は、この辛く厳しい人生を、楽しく生きてゆくための魔法をかけてくれる「ラブライブ!サンシャイン‼」が大好きです。
「明日へと進む力」をくれるキャラクターたちが大好きです。
次元の距離をものともせず、人それぞれの愛と思い遣りをもってキャラクターに接するキャストさんたちが大好きです。
色々なモノの見方を教えてくれるファンの方々が大好きです。
僕はこのコンテンツから得たものを現実世界へと還元し、日々の生活を輝かせること"だけ"を追求して彼女たちを追い続けてきました。つまり、これまでは『自分の興味・関心の為』にしか活動を続けていませんでした。
しかし、夢を叶えた彼女たちをみて思いました。
これからは、たくさんの人に「ラブライブ」を知ってもらえるように活動を続けたい。
彼女たちの願いが叶うところを、もっともっと見てみたい。
と。
実際個人の力のみではどうしようもないところもあるかと思いますが、やれることは全部やりたい。そう改めて思いました。
あの日、僕を引っぱってくれた手があるように
僕も誰かを引っ張って(コンテンツ沼に引きずり込んで)ゆけるような人になります。
それにしても…
Aqoursにありがとうと伝えてありがとうと返してくれるの。嬉しいよなぁ。
一生消えない思い出になりました。☺️