本当の自分ってなんだろう。
本音を吐く自分を「本当の自分」
建前を吐く自分を「偽物の自分」と仮定したとき、建前を言っている自分は自分ではないのだろうか。
嘘をついてしまう自分は自分ではないのだろうか。
仲の良い人の前ではフラットに会話を楽しむことができる。だから自分を取り繕う必要もない。つまり限りなく「本当の自分」に違い状態だろう。
では、自分よりも目上の人と接するときはどうだ。
言葉遣いに気をつけなければならない。身だしなみを整えなければならない。いつもより少し畏まって、言いたいことが言えなくなってしまうだろう。
果たしてそのときの自分は「偽物の自分」なのだろうか?
私は思う。本当の自分とはその全てだと。
どんな理想も願望も押しのけて、現実に残ったものだけが「本当の自分」なのだと。
そう気づいたのは最近のことだ。
しずくは「本当の自分」を曝け出すことに抵抗があった。「嫌われるかもしれない」「否定されるかも」しれない。そうして考えた思いの果てに選んだのが「自分を演じる」ことをだった。
彼女はきっと、「本当の自分」以外は「偽物の自分」であると思い込んでいたのではないかと思う。「理想のスクールアイドル」を演じれば演じるほど、「自分を曝け出すことができない自分は偽物だ」という心の声に苛まれてしまったのではなかろうか。
だからこそ、拳を振るったかすみが愛おしい。
しずくのことが大好きなかすみにとって、しずくが自分自身を否定するのは、かすみを否定することにも繋がるからだ。
入学してから「スクールアイドル同好会」所属してきた1年生同士、喜びも悲しみも分かち合ってきた「仲間」なのに、そんな自分は「偽物でした」なんて。愚痴を聞いて、頭を撫でてくれたしずくの優しさが偽物だったなんて。
かすみもそんなことは言ってほしくなかっただろう。
たとえしずくが自分のことを「偽物だ」と思っていても、かすみの中に「本当のしずく」が残っている。
今まで「可愛い」を押し売りしてきた少女が持ち出した「選択」は、今のあなたも「本当の自分だよ」という気づきだったのだと思う。
「本当の自分」も「偽物の自分」も、きっと地続きだ。
そんな自分を受け入れてやれたなら、きっともっと生きやすくなるのではないだろうか。
ぶれぶれのジョニー
(((((( c(・ω・()・ω・)っ)))))
2020.11.28